診療放射線科

放射線治療
画像誘導放射線治療装置(IGRT)
放射線治療とは、高エネルギーの放射線を腫瘍などの病巣に照射し、細胞を死滅させる治療のことです。手術療法と異なり、臓器の形態や機能を温存できるという大きな特徴を持っています。全身療法である化学療法と異なり、照射範囲の病巣以外への影響が少なく、比較的低侵襲の治療法(局所療法)です。
また、手術や化学療法などの治療法と組み合わせて行われることもあり、術後の再発予防や、がんによる痛みなどの症状を緩和する目的で照射することもあります。放射線療法は、通常1日1回照射、週5回照射で行い、治療回数は数回から40回程度で、病状、症状及び治療目的(根治療法、姑息療法)によって異なります。
当院の放射線治療装置はElekta(エレクタ)社製のSynergy(シナジー)です。この装置は、X線画像を撮影できる装置を装備した、革新的な画像誘導放射線治療装置です。3次元のCT画像を撮影する機能を備えており、撮影した画像と治療計画時のCT画像を重ね合わせることによって、位置決め誤差を算出することができます。算出された位置決め誤差地は、独立した6軸の制御が可能なカーボンファイバー天板「HexaPODevo」によって、精度の高い位置決め補正を自動で行うことができます。従来の治療装置では確認することが困難であった軟部組織まで判別できるので、より正確な位置決めが可能になり、高精度な照射を行うことができます。また、高い安定性と信頼性のある進行波型加速管を採用しており、X線エネルギーは3種類、電子線は5種類選択が可能で、様々な症例に適したエネルギーを利用することによって柔軟に対応できます。
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放射線治療の流れ
診察
治療専門の医師が診察し、検査画像や検査結果を基に放射線治療の適応や治療方針を決定します。
治療部位に対して、放射線の種類や線量、照射回数等を決定します。
放射線治療の副作用、注意事項についても説明します。
同意書にサインをしていただき治療開始となります。

治療計画
放射線治療を始める前に、適切な治療範囲や照射方法を決定します。
CT装置を用いて撮影を行い、その画像データを治療計画装置に送り、その中で最適な治療範囲や照射方法を決定します。 照射装置の線源データを利用した治療計画装置により、 放射線投与量の計算や体内の線量分布の確認などをおこない、最低の体積と最大の治療効果が得られる照射方法を決定します。
治療計画は放射線治療医師が臨床画像情報等を元に照射方法を決定します。
治療計画にはCT画像を用いますがMRI画像やPET画像を重ね合わせて照射範囲を決定する場合もあります。
照射部位に適した放射線の種類やエネルギー、照射方向等が決定されます。

放射線照射
照射中は患者さんが一人になりますが、担当の技師が操作室のテレビモニターで患者さんの様子を見ていますので心配いりません。 またマイクを通して会話ができますので、具合が悪いときには手で合図をするか、 声でお知らせ下さい。
初回の治療時には治療計画で作成したデータ体にうつし込んで、ズレがないかどうかの確認作業を行う為、40分程度がかかることがあります。
毎回の治療時は、治療室に入ってから出るまで約10分程度です。実際に放射線が照射されている時間は1~2分程度です。
照射中は放射線による痛みは全く感じません。
治療中は体を動かさないで下さい。治療中に動きますと、照射位置がずれ、治療部位に十分な放射線があたらなかったり、まわりの健常組織に悪影響をおよぼします。
担当技師が毎回お尋ね致しますが照射期間中の身体の変化に関しては、遠慮せずに担当技師に申し出て下さい。
放射線治療をおこなっている期間中は週1回、放射線治療医による診察があります。 何か変わった症状や気になることがありましたら遠慮無くご相談下さい。ご自身で判断されないことが重要です。

経過観察
放射線治療が終了した後は数ヶ月に1回、放射線治療医による定期検診があります。 放射線治療の効果は終了後でも続きますので、その後の経過観察が必要となります。

放射線治療の目的
放射線治療をおこなう目的は大きく分けて2つあります。

病気を治癒させることを目的とした根治的治療と症状の改善を目的とした対症療法(姑息的・緩和的)治療があります。
その他に、病気の再発を防止する目的で、乳癌手術後の残存乳房に対して予防的放射線治療が行われます。

根治照射(予防照射)
臓器の形態や機能を温存して病気の治癒を一番の目的とします。
放射線単独での治療や、放射線と化学療法を併用した治療をおこないます。
頭頸部、肺、子宮、前立腺、リンパ腫などの疾患で行われます。
手術前や手術後に照射をおこなうこともあります。


対症(姑息的・緩和的)照射

骨転移に対する疼痛の緩和や脳転移に対する神経症状の改善を目的として照射します。
また、胸部の縦隔に出来た病変が血管や気管を圧迫して顔面、上肢のむくみ、呼吸困難等の症状が現れた場合に、 その症状を改善するために緊急で照射を行うこともあります。
痛みや呼吸苦を出来るだけ早く取り去る事は、生活の質(QOL : Quality of Life)の向上を考える上では大切な治療です。